
あなたは、強いストレスや不安を感じると、おなかの調子が悪くなる…という経験をしたことがありますか?
なにかよくない展開が目の前で起きつつあるとき、おなかが、「スー―――っ、ヒヤ――――っ」とする感じを経験されたこともありませんか?
反対に、お便りがドーーーーーんと来て、お腹の調子が良くなると、気分まで爽快になることもありますよね!
「脳」と「腸」というと、それぞれ独立した臓器と思われていますが、脳の状態とお腹の状態には関連性があることが見いだされてきています。
脳と腸の関係性は、これだけにとどまりません。アルツハイマー型認知症やパーキンソン病、自閉症などが腸内細菌と関係することを示唆する研究結果が報告されていたり、睡眠やストレスへの好影響が期待される乳酸菌飲料が大きな話題になったりしたこともあります。
脳と腸内環境の関わりについては注目が増すばかりです。
だから、ここ数年、乳酸菌飲料がどんどんリリースされているというわけです。
研究の発展により、脳がストレスや不安を感じたときに、その情報が腸に伝わり腸の機能に影響が出る…という「脳から腸」、さらには腸で生じた様々な変化が脳に伝えられ、脳の情報処理に影響を与える「腸から脳」への作用があることが明らかになってきたのです。
このように、脳と腸が相互に情報伝達、情報交換を行い、作用を及ぼし合うことを「脳腸相関」と呼びます。お聞きになられたこと、ありますよね?
腸内細菌叢と疾病の関わりの研究が進む中で、肥満だけでなく、認知症やうつ病、発達障害などの知見が増えてきて、「どうやら腸と脳は関係しあっている…」ということが明らかになってきました。
2022年には、腸内細菌叢の研究成果を発表する学会でも、脳腸相関に関する研究が活発に議論されたのだそうです。
そのなかで注目されていたのは、子どもの発達障害、認知症、パーキンソン病など脳神経に関わる疾患に絞って研究を行われている事例がとても多かったそうですよ。
「脳腸相関」に対する関心度合いが、非常に高まってきているということです。
では、「脳」が先か、「腸」が先か…という議論が沸き起こってきそうですが、いろんな先生がたの文献を読んでいると、やっぱり、「食事」がもっともハードルが低いアプローチになるという考え方に行き着くようです。
原初的な生物(ミミズを想像してください…)は基本的に腸(腸管)が主な器官です。そこから「脳」が分化してきたという進化の流れからも、「腸」が先だという考え方は、なんだかとっても納得がいきますよね。
食育的視点からいっても、ぼくたちのカラダは、「食べたもの」からできている…と言われます。ま、正確に言うと、「食べたものが、消化されて」できている…ということになりますが…。
腸内細菌の多様性を維持し、健康づくりに役立てるために注目されているのは、イヌリン、難消化性デキストリン、ペクチンなどの水溶性食物繊維なんだそうです。
これらは腸内細菌のエサになるので、朝食に水溶性食物繊維を含む食材(ゴボウ、菊芋、リンゴ、海藻類など)をしっかりとることで、腸内細菌の活動が次第に高まってくるといいます。
一般に、軽い便秘対策では、便のかさを増し水分をため込む成分や、非水溶性食物繊維を夕食にとるのがいいそうです。それに対し、朝食に水溶性食物繊維をとると、腸内細菌のリズムが改善され、便通をサポートしてくれるといいます。というわけで、やっぱり、食事については、大事にしていきたいですね。
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