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「慢性炎症」が老化を促進している!?


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“慢性炎症” という言葉をお聞きになられたことがございますか?

いま、老化を進める原因の一つとして、加齢とともに徐々に進む「慢性炎症」が注目されています。


慶応大学では1500人の高齢者を最大10年間追跡調査し、臓器の状態や代謝など、体のどの機能が寿命の長さに関係しているのかを分析。その結果、唯一寿命との明確なかかわりが見られたのが慢性炎症だったそうです。(2016 年10 月29 日NHK総合テレビの「NHKスペシャル」より)

つまり、慢性炎症を抑えることが健康長寿のポイントになるといえそうです。



 

慢性炎症とは?





“炎症” には「急性」と「慢性」の炎症があります。

急性の炎症は、本来わたしたちが細菌などの外敵からの攻撃によって傷つけられた場合、敵をやっつけ、自分の身を守るために編み出された自己防衛反応です。

慢性炎症は、歯周病(歯槽膿漏)、結膜炎、口内炎、皮膚炎、痔ろうなど、あまり病気と意識されないものもあります。


また、防衛反応のはずの急性炎症が、いつの間にか慢性化し、自分自身の組織や細胞を敵と誤って攻撃することがままあります。これが自己免疫疾患と呼ばれる一群の病気です。関節リウマチや膠原病、アトピーなどがその典型的な例です。


急性炎症の症状は激しく現れますが、慢性炎症の症状は比較的ゆるやかです。ゆるやかとは言っても、ある時期、急に熱や痛みがでることもあります。そのとき、慢性炎症は急性炎症に変化しているわけで、ひとつながりの炎症であると言っていいでしょう。


急性炎症は生物に本来備わっている、原始的な自己防衛反応ですが、慢性炎症には自己防衛反応という現象はみられません。それどころか、慢性炎症は、炎症自体がさらに炎症の状態を継続・慢性化させ、もっぱら自分自身を傷つけることだけが主作用という、自己破壊的悪循環の状態です。(書籍「老化は治せる」後藤眞著より引用)

 

健康診断書でわかる慢性炎症度チェック



慢性炎症度は人間ドックの血液検査で調べることができます。健康診断書にあるCRPの値でご自身の慢性炎症の状態を参考数値として知ることができます。

【CRP 値 0. 30以下: 基準範囲 0. 31~0. 99 : 要注意】


 

①食事 ~慢性炎症を抑える生活習慣~



長寿地域の一つイタリア南部のアッチャローリ。オリーブやナッツなど温暖な気候で育まれた食材を使った地中海食はこの地域が発祥の地だとされています。ボローニャ大学では地中海食と長寿の関係を調べるため、栄養士の指導のもとヨーロッパ5か国600人の高齢者に地中海食を食べ続けてもらい体に起きる変化を調査。1年後に血液を採取し炎症のレベルがどう変わるのかデータを集めした。


すると、地中海食を適切に食べた人ほど炎症の数値が低くなることが確かめられました。地中海食に特徴的な魚、オリーブオイル、ナッツ、野菜、これらに含まれる脂肪酸やポリフェノール、リコピンなどの炎症を抑える成分が影響を与えたのではないかと専門家は見ています。ただし、人種、ライフスタイル、性別などの様々な要因によって効果は変わってくることと、腸内細菌も関係しているのではないかと考えられています。


 

②運動 ~慢性炎症を抑える生活習慣~




「センテナリアン」の研究から健康長寿の要因として、身体活動も注目されています。世界的な長寿地域の一つ、イタリア・サルデーニャ島の最大の特徴は世界一男性の長寿率が高いことです。


「センテナリン」の男女比率は1:1です。1:9と圧倒的に女性が多い日本に比べると驚異的な比率です。この地域の男性に共通しているのは、100歳に到達するまでの身体活動量が多いことだそうです。この地域の男性が1日に歩く距離は約8キロにもなることが分かりました。


 

③心・メンタル ~慢性炎症を抑える生活習慣~




“満足感”が慢性炎症を抑えることと深いつながりがあることが最新の科学で明らかになってきました。

カリフォルニア大学医学部のスティーブン・コール教授は、男女84人の被験者を対象に日々の幸せや人生での充実感、今の自分が好きかどうかや、日常で得られる達成感など様々な満足感を聞き取る調査を実施。その後、調査した人たちの血液を採取し分析した結果、“満足感”と“炎症”との関わりを示す遺伝子が見つかったそうです。


この遺伝子群は、人が何らかのストレスを受けた時に働きを強め、逆に満足感を得ると、その働きが弱まります。遺伝子の働きが緩やかになった時、慢性炎症が抑えられるという相関関係が明らかになったのです。


(※2016 年10 月29 日NHK 総合テレビの「NHK スペシャル」より)


 

満足感の種類によっては全く違う




調査人の中には満足感を得ているにも関わらず、むしろ慢性炎症が進んでしまうケースがあったそうです。


炎症を抑える満足感と炎症を進めてしまう満足感。その違いはどこにあるのでしょうか?「食べたいだけ食べる」「むやみに買い物をする」などは“快楽型”と呼ばれ自分の欲求を満たすことで生じる満足感で、炎症を進めてしまいます。


一方、ボランティア活動や家族を大切にする、世のために動く、アート作品を発表するなどは“生きがい型”と呼ばれ、炎症を抑えていたそうです。


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