いま、「亜麻仁油」がめっちゃ売れているようです!
先日、あるテレビ番組で特集されたんです。そもそも「亜麻仁油」は、あの 杏林予防医学研究所 所長 山田豊文先生イチオシの油で、ご存じの方も多いと思います。油は体に悪いからできるだけ控えたほうがいい!山田先生も、こうおっしゃいます。でも、それは、「トランス脂肪酸を含む油」がダメなのであって、良質の油は摂る必要があります。
ぼくたちの細胞一つ一つをつくるのにはたんぱく質が必要だといわれています。ですが、実は油も必要なのです。細胞を包んでいる細胞膜は脂質からつくられているからです。
細胞を包む細胞膜は、脂肪酸とリン酸が結合したリン脂質という分子が2層に並ぶことで形成されています。
油をとることは細胞膜をつくるのに欠かせません。
ちなみに、ぼくたちの脳の細胞には長く複雑な細胞突起があり、脳の構成成分に占める細胞膜成分の割合が大きい…。
脳は他の臓器に比べて油が多く、水分を除くと油が脳のおよそ60%を占めています。
さてさて、ぼくたちが食用で使用している「油」の成分は「脂肪酸」です。
その脂肪酸の分類は炭素・水素・酸素の3つの原子の構造によって多岐にわたります。
食用の油は、大きく分けて2種類。「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」。
飽和脂肪酸は、炭素同士が1組の電子を共有して結合しており(単結合)、真っすぐな炭素の鎖をつくっている。分子同士が密集して、固まりやすい…。そのため、飽和脂肪酸を多く含んでいる食品は融点が高く、常温でも固形のもの(ココナツオイル、肉の脂など)に多いのです。
不飽和脂肪酸は、炭素同士が2組の電子を共有して結合しており(2重結合)、炭素の鎖に曲がった部分があります。分子同士の隙間が大きく、分子間力(分子同士がくっついたり離れたりする力)が弱いため、液体になりやすいのです。そのため、不飽和脂肪酸を多く含んでいる食品は常温で液体のもの(オリーブオイルや魚の油など)に多い…。
不飽和脂肪酸のうち、「一価不飽和脂肪酸」は2重結合が1つの、「多価不飽和脂肪酸」は2重結合が2つ以上ある。一価不飽和脂肪酸には、オメガ9系脂肪酸が属します。菜種油やオリーブオイル、ハイオレックタイプの紅花油やひまわり油に含まれるオレイン酸が代表的です。
オメガ3・オメガ6系は多価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸は、オメガ3系脂肪酸やオメガ6系脂肪酸に分けられます。
オメガ3系脂肪酸では、くるみや亜麻仁油、エゴマ油に含まれるα-リノレン酸、魚に多く含まれるEPAやDHAがあります。
オメガ6系脂肪酸では、大豆油やコーン油、数種類の植物油を合わせたサラダ油など一般的な植物油やパン、菓子類に多く含まれるリノール酸が有名です。
なお、炭素の鎖が真っすぐな「トランス脂肪酸」も不飽和脂肪酸に分類されます。マーガリンやファットスプレッドに多く含まれています。ほとんどは人工的につくられており、炭素の鎖が真っすぐで柔軟性がありません。細胞膜をつくる材料となる油に柔軟性がないと、細胞の機能も損なわれてしまいます。運動して急に血流量が増加したとき、血管壁の細胞膜に柔軟性がないと血管を狭くしたり広げたりすることができずに対応しにくくなってしまいます。
トランス脂肪酸の過剰な摂取は、血中の悪玉コレステロールも増加させることもわかっています。悪玉コレステロールが増加すると酸化してマクロファージという免疫細胞に取り込まれて泡沫(ほうまつ)細胞となり、血管壁の中にたまり、血管の内側にプラークというコブができてしまうのです。そのプラークが徐々に大きくなることで血管が狭くなり、動脈硬化となる…という顛末です。トランス脂肪酸があかんと言われる理由をおわかりいただけたかと思います。
そういう点で、オメガ3系脂肪酸やオメガ9系脂肪酸を適度にとっていくことが大切です。ですから、せめて料理する際には、オメガ9系脂肪酸を多く含む菜種油を使ったり、オメガ系脂肪酸を多く含む亜麻仁油やエゴマ油をかけたり、サバ、サンマ、イワシといった魚を積極的にとってバランスをとることが望ましいです。
ただ、摂取量にも注意が必要です。やみくもに多く摂ればいいというわけではなく、基本は、おおさじ一杯を目安とするとよいと思います。
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